日本にはたくさんの芸人さんがいますよね。「なんでやねん!」と突っ込んだり、曲に合わせて踊りながら観客を笑わせたりと、様々なスタイルの芸人さんが活躍しています。
多くの場合はコンビやトリオなど、2人以上のグループで活動しており、1人で活動している場合も踊ったり、裸になったりと、「1人で話す」ことで笑いを取る人はあまりいません。
では、言葉も違えば笑いの文化も違うアメリカではどうでしょう?
アメリカの芸人=スタンドアップ・コメディアン
アメリカでは、多くの場合、日本の芸人のようにグループで音楽や小道具を使ったり踊ったりして笑いを取ることはありません。
反対に、「スタンドアップ・コメディ」というスタイルが一般的です。
スタンドアップ・コメディとは、コメディアンが1人でステージに立ち、自分・家族・友人・社会で起こっている出来事など、様々な対象についてジョークや皮肉を言って笑いを取るコメディの方法です。
コメディアンはスーツを着てビシッと決めている場合もあれば、Tシャツとジーンズといったラフな格好で登場することもあります。たいていの場合、手に持っているのはマイク1本のみで、他に小道具を使うことはありません。
つまり、日本のお笑いと異なり、どれだけおもしろい話をできるかにかかっているんです。
人気のスタンドアップ・コメディアンたち
アメリカには数え切れないほどのスタンドアップ・コメディアンがいますが、その中でも特に人気のコメディアンをご紹介いたします。
1. Aziz Ansari (アジズ・アンサリ)
まず、アジズ・アンサリは、インド系アメリカ人のスタンドアップ・コメディアンです。
両親がインドから移民としてアメリカに移り住んだ背景を持つ彼は、友人との会話や社会問題などを移民やマイノリティの立場から皮肉たっぷりに話すスタイルで人気です。
スタンドアップ・コメディのみにとどまらず幅広く活躍するアンサリは、「Parks & Recreation (パークス・アンド・レクリエーション) 」というコメディドラマでビジネスマンを演じて役者としても人気を博しました。
さらに「Master of None (マスター・オブ・ゼロ) 」というドラマでは、自身が脚本・主演を務めています。
ちなみに、アジズは「Master of None」でデヴという売れない役者を演じているのですが、実はデヴの両親役としてアジズの実の両親がゲスト出演しているんです。両親との仲の良さや、移民として苦労を重ねた両親への尊敬の念を感じられますね。
2. Jerry Seinfeld (ジェリー・サインフェルド)
ジェリー・サインフェルドは、ユダヤ系アメリカ人のスタンドアップ・コメディアンです。
スタンドアップ・コメディアンとして活躍する一方で、1990年代には「Seinfeld (となりのサインフェルド) 」というコメディドラマを制作しました。
こちらのドラマは「アメリカ人の4人に1人は見た」と言われるほど、全米で大人気のシチュエーション・コメディに成長しました。
「Seinfeld」で主人公である本人役を演じたサインフェルドは、ゴールデングローブ賞やエミー賞といった、アメリカ演劇界の名誉ある賞をいくつも受賞しています。
ちなみに、サインフェルドは昨年度1年間でおよそ7000万ドルを稼ぎ、「2017年度で最も稼いだコメディアン」に選ばれています。77億ドルといえば、日本円にするとおよそ77億円にものぼります!
彼の人気っぷりがよく分かりますね。
3. Louis C.K. (ルイ・C・K)
ルイ・C・Kは、メキシコ系アメリカ人のスタンドアップ・コメディアンです。
彼は2008年に離婚を経験しているのですが、離婚後、結婚していた頃の元奥さんとの生活をネタにしたジョークでコメディをすることを思いつきます。
そして彼の予想通り、夫婦生活や子育てでの「あるある」ネタをふんだんに盛り込んだネタは見事大ウケ。ルイ・C・Kは、一躍大人気のコメディアンになりました。
さらに、スタンドアップ・コメディアンとしての仕事の他にも、脚本家や俳優としても活躍しています。
コメディ番組の脚本を中心に手がけているルイ・C・Kは、1999年にエミー賞の中の「バラエティ・コメディの最優秀脚本賞」を受賞しています。
2010年から2015年には、ルイ・C・Kが監督・一部編集・主演を務める、自身の生活を基にしたドラマ「Louie (ルイー) 」が放送され、こちらも一気に注目の的になりました。
4. Tig Notaro (ティグ・ノタロー)
最後に、ティグ・ノタローは、アメリカでも珍しい女性のスタンドアップ・コメディアンです。
彼女は「deaadpan」と呼ばれる、無表情で「ま、どうでもいいけど。」という感じで話すスタイルのコメディで人気を得ています。
また、女性ならではの視点で社会風刺をしたり、得意な化学や自然科学の分野についてのジョークを披露したりすることが多く、女性や学生など幅広い層から人気があります。
さらに、ノタローはレズビアンであることを公表していたり、乳ガンになったことを告白したりと、彼女の私生活についてもコメディのネタにしてしまうほどの強い女性です。
スタンドアップ・コメディを見てみよう
日本にはたくさんの芸人さんたちが活躍しており、ダンスをしたり歌を歌ったり、さらには熱湯に飛び込んだりしながら、いつもテレビなどを通してお茶の間に笑顔を届けてくれていますよね。
それも1つの「笑い」の形であり、決して筆者は日本のお笑いを批判しているわけではありません。
ただ、アメリカの言葉で勝負するという「笑い」の形も、非常にレベルが高く素晴らしいものだと思い、ぜひみなさんともシェアしたいと思いこの記事を書かせていただきました。
この記事を読んでスタンドアップ・コメディに興味を持たれた方は、ぜひ、他にもYouTubeやNetflixなどでスタンドアップ・コメディを見てみてくださいね。
きっと、皮肉たっぷりのアメリカンジョークにハマってしまいますよ!